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- 2024/07/27
- 生まれました
わたしはこころを知りたいのです
《死天使》の二つ名を持つ美しい少女・ナタリアは、帝国軍の保有する最凶兵器、暗殺人形。兵器として育てられたナタリアはこころを持たなかった。
──けれど。
《死神》の二つ名を持つ敵国の暗殺者の青年・ライを命令通り殺すため、……殺し合うためにナタリアはライと出会ったはずだったのに。
《死神》の青年は《死天使》の少女に問うたのだ。
戦争のない世界を見たくはないか、と。
こころなんて、知りたくなかった
これは、あなたへ贈る最後の物語。
何もかもいずれ失うとして──
心を殺して命を刈り続ける暗殺者の男は、雨の降る日に己の命の終わりを見た。けれど、死にかけの男の上に娘は傘を差し掛けた。男のことを何ひとつ知らない娘は言う。
あなたは誰かを傷つけることを怖がっているのだと。
やがて心を殺していた男は娘にどうしようもなく惹かれていく。血と硝煙にまみれたこの手で触れればいずれ壊れてしまうと、どこかで感じながら。
いずれ終わるこの刻を止めてしまえたら。
そう、願った。
それでも──。
あなたはどんな宝石になるのでしょう?
天に見放された世界。
人は死ぬと姿を宝石に変えた。けれど、黄昏の獣に食べられてはいけない。宝石も残らず消えてしまうから。
それはいにしえの罪の代価。錬金の王と呼ばれた最初の王さまが犯した罪──空から落ちた天のみ使いを愛したことの代償。
錬金の王と同じ姿をした少年リゼルは最後の王として冠を戴く。そして、兄も母も父も失くした孤独な少年王は、封じられた塔のてっぺんで片翼の天のみ使いを見つける。
すべては世界が崩れて終わるまでのさいごの光芒。
もしも、もしも罪が赦されるというのなら
ありえなかった明日の記憶。
神殺しの王は片翼の天のみ使いから翼をもいでしまった。
それでも、いい。あなたと明日を歩みたい。